
前回の続き。
ではなぜ、ヨーロッパの革の取り扱いを始めるのか。
工房にある靴用の革を大雑把に捉えると、日本の革は、しなやかで適度な弾力があり、足馴染みが良い感じ。対してヨーロッパの革はより硬質で張りのある印象です。(あくまで個人の捉え方です、念のため)
工房にいらっしゃるお客さまの中には、足に悩みを抱えている方も多く、そのようなお客さまには優しくフィットし補強によって剛性の調整もしやすい日本の革が適していると考えています。しかし、ビジネスシーンでのカッチリとした雰囲気の着用に耐え、より型崩れしにくいという点では、やはりヨーロッパ産の革に軍配があがります。工房にも、そういったお客さまからの要望が増えてきてきたのが取り扱いを決めた大きな理由です。大きな括りでは私たちも皮革産業の中にいるわけですし、年々高まっていくであろう海外からの需要に対して、国際的競争力をつけておこうという意味も含まれています。
もう一つの理由はEUとのEPAの発効による、日本の皮革を取り巻く国際情勢の変化です。今まで高かった関税(革の種類により高いと60%)がこれから少しずつ下がってくることによって、日本の革の在り方と外国から入ってくる革の在り方の関係もやはり変化していくはずなのです。それを、どちらにも触れることによって、当事者として見ていきたいと思っています。
長くなりましたが、こんなことを考えてヨーロッパ産の革の取り扱いを始めることとしました。本来、対外的に書くことではないかもしれませんが、現時点で感じている皮革産業と自分の立ち位置確認のためにも書いておきます。
もちろん日本の良い革も継続して仕入れていきますので、工房お越しの際には、色々と比べてみてください。それだけでも楽しめると思います。
今回の画像はフランス産の革のサンプル。輸入革につきましては、まだまだこれから揃えていくところで、在庫が不安定な状態です。色々と試行錯誤しながら進めていきますので、お問い合わせはメールにてお願いいたします。